香港の雇用保障 Protection of Employment
雇用保障(Protection of Employment)は、各人に雇用が保障されるという社会福祉的な意味ではなく、労働者が以下に該当する不合理かつ非合法的な解雇に遭遇した場合に、保障を獲得でき、合理的な賠償を得られるという意味である。
もし、以下の違法な解雇の状況に該当するならば、労働者は雇用条例に基づいて法的要求が法廷で行える。
1、不合理な解雇(不当解雇)
まず、この保障の対象になるのは、労働者が既に二十四ヶ月その雇用主に雇用され、418ルールに該当する連続性の契約を結んでいることが前提になる。
そして、雇用主が意図を持って雇用条例の規定する労働者の権利、利益、保障を減少あるいは喪失させる目的で解雇した場合に、不当解雇になる。
もし雇用主が正当な理由(労働者が厳重な過失を犯した)に基づかずに解雇した場合、この様な意図があり、不合理にも解雇したとみなされる。
2、不合理な雇用契約条項の変更
雇用主が、労働者の同意を経ずに雇用契約内容を変更し、当該契約にその様な行為に関して明文規定がなく、雇用主が意図を持って雇用条例の規定する労働者の権利、利益、保障を減少あるいは喪失させる目的で一方的に変更した場合。もし雇用主が正当な理由(労働者が厳重な過失を犯した)に基づかずに解雇した場合、この様な意図があり、不合理にも契約変更したとみなされる。
3、不合理かつ違法な解雇
もし雇用主が正当な理由(労働者が厳重な過失を犯した)に基づかずに解雇した場合、そして、当該解雇が雇用条例(第57章)、工場及び工業経営条例《工廠及工業經營條例》(第59章)或いは、被雇用者補償条例《僱員補償條例》(第282章)などの解雇規定の解雇不可な状況に違反する場合。
何度も言及する様に、香港の労働法規は雇用条例だけではない。日本にしても労基法だけが労働法ではない点にも注意がいる。
もし雇用主が以下の状況で解雇するならば違法である。
(1)雇用主が、労働者の妊娠通知を受けてから解雇する。
(2)雇用主が、労働者の有給のシックリーブ時に解雇する。
(3)雇用主が、労災労働者と労災補償の協議前に解雇したり、労災認定書が出る前に解雇する。
(4)雇用主が、労働者が労働組合に参加したり、労働組合の活動をする権利を行使した際に解雇する。
(5)雇用主が、労働者が労働法規、労災或いは労働安全規定の違反に関する法律上の手続きで証拠や資料を提供したから解雇する。
上記のこれらの状況下で、労資審裁所は雇用主に復職令や再雇用や解雇補償金を支払う様に命じることができる。これ以外に、労働者の解雇が不合理で違法ならば、労資審裁所が復職令や再雇用を命じなくても、解雇補償金の支払い如何に関し、労資審裁所は適当な状況下で雇用主に15万香港ドルを超えない額で解雇補償金を労働者に支払う様に命じることができる。
これ以外に、もし雇用主が違法な解雇をするならば、民事的な補償の責任を負う以外に、労工所が検挙して、起訴し、有罪になれば最高で10万香港ドルの罰金になる。
4、解雇或いは雇用契約変更の正当な理由
以下の5つの理由、状況は、合理的な解雇や契約変更の理由とみなされる。
(1)労働者の行為
(2)仕事に必要な能力や資格
(3)リストラやその他の業務上の必要
(4)法例の規定
(5)その他法廷が認可する実質的な理由
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香港で労使紛争に遭った場合の基礎的な注意事項
1、もし、雇用主と労働条件で労使紛争が起きた場合、直ぐに衝動的に書面や口頭で雇用契約を終了しないこと。当然、香港の人事部はマネージメントの追随及び人事の事務処理代行の域をでない低劣さが顕著なので、まずは、労働組合や労働問題の経験ある弁護士に一定期間相談するべきである。その上でも終了はいつでもできる。人材会社の連中は、日本同様労働問題の相談相手ではない。連中は、広告主である企業の人事部の意向と方便しか一面的に顧みない。
2、もし、雇用主に解雇された場合、いかなる文書にもサインしないこと。また、何かにサインする前に、自身に不利ではないかまず内容をよく見ること。不明な点は、質問しはっきりさせ、解答が不明瞭ならばサインは拒否するべきである。つまり、理解できないものは拒否すること。下劣な香港マネージメントは手口としてあからさまな詐欺を働く場合もあり、それはサイン無効として追究する道を開く。ここで、重要なのは、サインした全ての公式、非公式の文書はコピーを要求する権利があり、コピーを渡さないならばサインしないことである。このような卑猥な資本主義の犬に屈するくらいならばサインや合意を破棄するべきである。その方が労働者の精神的利害及び社会的契約上の権利の実現と言える。日本の求人詐欺の手口は基本的に香港でも存在している。多くの多国籍企業のアジア太平洋地区の本部は香港であり、人事部が実は香港という大企業も少なくない。手口自体の共通性はここから来ている。
3、紙媒体か電子媒体かを問わず、全ての企業関連の文書を保存すること。これは、雇用契約書から、就業証明、給与支払報告書、税報告書、解雇通知書などを含み、その後労働者の受けるべき権益を要求する基礎になる。
References
1.《勞資審裁處條例》 https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap25!zh-Hant-HK2.
2.香港法例第57章《僱傭條例》僱傭保障Q&A http://www.labour.gov.hk/tc/faq/cap57k_whole.htm 3.勞資審裁處表格 http://www.judiciary.hk/tc/crt_services/forms/labour.htm
4.勞資審裁處條例 https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap25!en
5.第338章 《小額錢債審裁處條例》https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap3387.Cap.
6.347 LIMITATION ORDINANCE https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap347!en?INDEX_CS=N8.Cap.
7.149 General Holidays Ordinance https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap149
8.判例集: https://www.elegislation.gov.hk
雇用条例の全文は、以下の二つのリンクが有用である。日本語は、完訳済みである。
English: https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap57 Chinese:https://www.labour.gov.hk/tc/public/ConciseGuide.htm
Statements
This series of articles about HK labor issues is written by Japanese due to supporting Japanese workers in Hong Kong where differs from Japanese working environment. Moreover, there is no labor consultant for Japanese workers in Hong Kong while facing blood sucking Japanese recruit agents and overseas Japanese 'Black Kigyo' (Evil Companies). Any part of this report may be disseminated without permission, provided attribution to Ryota Nakanishi as author and a link to www.ryotanakanishi.com is provided.
注意:香港には、日本人のための労働相談所はない。また、総じて労働問題対策の出版物は皆無に等しい。日本語だけでは、極めて危険な状態である。香港でも会社の人事部、就職エージェントや企業の人事コンサルタントなどはすべて行為において資本家側であり、自分たちも労働者であるのに、むしろ労働者と敵対するので、要注意だ。会社外の労組へ相談するべきだ。香港では日本人で労働問題を論じている者がいないと言うことはできない。私は永久に労働者階級のために階級闘争を戦う。階級闘争とは、労働者の階級的利害のための一切の社会的な闘いである。
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